やっと夜が明ける(終ヴィル三幕感想)
絶望エンド×4で胃もたれしてかなり萎えてたので、これアンリミテッドブレイドワークスしてんの…??てなったときはめちゃくちゃ興奮したし汗出た
「私との約束を果たしたら、君を普通の女の子に生まれ変わらせてあげよう」
他ルートではこの契約にはほとんど何の意味もないけど、三幕では「普通の女の子として生きたい」がセレスの中で本物の願いになっていく
普通の人間が好きな私にとって三幕の、特にアドルフの描き方は好きだった
数時間このゲームをやってきてアルペシェールの歪んだ死生観に慣れてきてたので、23年の人生を繰り返し、死というものを軽んじるアルペシェールの在り方をアドルフが「気味悪い」と言ってくれてハッとした
ゲームをやり始めたときはそう思ってたはずなのに、その歪んだ死生観に違和感を感じなくなってたよ…
「リライバーとかよくわからない技術は怖いからリライバーにはなりたくない」も注射が怖いみたいなものだと思ってたのに
アドルフの第二の漂流者としての背景を知ると、歪んだ死生観に対する真っ当な感性だったんだなて感じられてすき
そしてアドルフの告白……!!
「数十年寄り添って生きて、皺だらけの老人になった自分を看取ってほしい」というアドルフにしか思い描くことのできないごくごく普通の願いが
終遠のヴィルシュというゲームの中ではこんなにも眩しく力強くなるのずるい
で、最後のアンクゥの言葉ですよ…
「この先に、どんなに苦しい未来が待ち構えていようとも――……絶対に死ぬな。苦しんだ分、より多くの希望と幸福を掴み取ってやると。力強く……実直に、前へ進め。そして数十年後の……最期のときには真っ白な髪と、シワだらけの顔で……こいつを看取り――子供に囲まれながら……普通の人生を、逝くんだぞ」
数百年生き続けた不老不死の化け物でありながら、アドルフと同じものすごく普通で眩しい人間性を見せて逝ったアンクゥ
もうアンクゥ完全に私の男です……
相手のために尽くしながら、その子の人生から勝手に自分を締め出しちゃうずるい男
アドルフもアンクゥもセレスに普通の人間として生きてほしいという願いは同じなのに、アンクゥは最後までそこに自分が入らないのが本当に悔しい…(アドルフ=アンクゥではあるけど)
どこまでも「俺」とセレスへの願いだからさ…アンクゥ√がないと知ってさらに絶望
アンクゥと恋したい…
でもセレスが恋するのはアンクゥではなくアドルフだし、
過去のセレスと今のセレスに二回恋をするけど「愛してた」の過去形の告白をして逝くアンクゥが好きなんだ…
お日様いっぱいの真っ白なリコリスの花畑で告白して、これから来る未来に胸を膨らませてキャッキャッするアドセレに対して
自殺したあと不吉の象徴である真っ黒なリコリスの花束をセレスに贈って過去形の告白をして死ぬアンクゥが好き
まあアンクゥは最後までセレスにたくさんのものを与えていったけど、セレスが本当に欲しかったものは「一緒に生きたい」「一緒に幸せになろう」ていうアドルフの言葉だったんだよな…
それがまた切ない
確かにイヴ√のイヴはめちゃくちゃ主人公でかっこよくて、反面セレスが一番ウジウジ悲劇のヒロインしてて…
でもセレスに必要なのは、セレスのために死んでくれる人でも、英雄みたいにかっこいい主人公でもなく、
途中で折れたり躓いたりしてセレスに𠮟咤激励されたりもするけど「一緒に生きよう」と言ってくれる普通にかっこ悪い人間のアドルフなんだなって
あと攻略対象に先立たれる救済エンド、セレスは全部後追い自殺するんだけどアドルフ√だけは、アドルフを看取った後も子供たちに囲まれながらきっと生き続ける
アドルフにそう望まれて、アンクゥに願いを託されたから
それができるのはアドルフ√だけ
アルペシェール以外の国ならきっと当たり前のこと
でも死が軽々しく扱われるアルペシェールにおいては、大切な人が死んでも正気を失わず停滞せず、周囲の人に支えられて、ときには死者を想いながら生きる
そんなあまりにも得難い普通の生を与えてくれたアドルフとアンクゥが大好き
終ヴィル自体は私の肌には合わなかったけど、「普通の人間として生きる」ていう三幕のテーマはすきだし何よりアンクゥに出会えてのでやってよかった
次はもっとほのぼのした乙女ゲームやりたい
おわり